いつか北海道で“まきばのレストラン” 北海道の生産者の皆さんに力を借りて、北海道フレンチとして東京の神宮前でビストロを営んでいる私たちル ゴロワ。その原点にあるのは、北海道に“まきばのレストラン”を拓きたいという、子どもの頃からの夢です。 あるとき、4頭の馬と出会う縁に恵まれ、あかり、ルーカス、勇気、元気と名付けました。当初は、東京郊外の牧場で世話をしてきましたが、2010年からは十勝の「森の牧場」で預かってもらっています。
あかりの出産から始めるル ゴロワ農場 2012年の春。富良野に、農場を拓くための用地をお世話してもらいました。とはいっても、プランは、ほぼ白紙です。いつまでにどうするかは漠然としていますが、できることを、やりながら、こつこつと、進めていこうと考えています。 農場づくりに取りかかるタイミングを決めたのは、十勝にいるあかりをここに連れて来ることから始めようと決心したからです。じつは、昨年、道産子の銀ちゃんとお見合いをしたあかりは身籠っていて、出産は2012年の6月か7月の予定。産んだ後に引っ越すのは無理なので、雪解けのあと、すぐにでも着手して、5月にはあかりが引っ越せるように準備をすることから始めることにしました。 ル ゴロワ農場、ボン・ボヤージュ! あかりが出産するためには、しばらく使っていなかった馬房を整備することと、放牧場に牧柵を巡らせることをしなくてはなりません。まったく急な展開でしたが、5月に、スタッフ全員で農場づくりを行うことにしました。店を2週間以上も休みにするのは、ル ゴロワ史上前代未聞。一大決心が必要でしたが、自分たちの農場づくりは、自分たちの手を動かすことから始めることに決めました。 5月のある朝。ル ゴロワの前に、スタッフ全員集合。シェフの四駆と、ル ゴロワ農場のために調達した軽トラに分乗。大洗からフェリーで苫小牧港へ。ついに、この日がやって来た。自分たちにエールを送ります。ル ゴロワ農場、ボン・ボヤージュ! いざ北海道へ。 大変でありがたい農場づくりの作業 現地に到着して、すぐに作業開始。農場づくりに集中するために店は長期休業としましたが、農場づくりのために、十分な時間があるとはいえません。限られた貴重な時間です。気合いを入れて取りかかりました。 体力がなければ料理の仕事はできませんが、いつも鍛えている体力と、農場づくりの体力は別物でした。牧柵をつくるための杭づくりひとつとっても、電柱のような丸太を運び、先を尖らせ、地面に打ち込むというのは全員初めての仕事です。大地と向き合う仕事の大変さを実感します。笹藪の虫も半端じゃないし、熊の棲息をしめす跡もあちこちにあります。5月とはいえ北海道では、吹雪のようなひどい風雪にもみまわれました。365日大地と向き合っている生産者の皆さんの仕事の一部でも体験できたのだとすれば、ありがたい貴重な経験ができたと思います。 とにかくなにしろ、スタッフ全員で取り組んだ10日余りの作業で、牧柵を巡らせ、馬房の整備をすることができました。あとは、あかりと世話役の勇気の2頭が無事に到着するのを待つだけです。 小さな牧羊犬「れい」と共に次の一歩を。 十勝の「森の牧場」から富良野のル ゴロワ農場に到着したあかりと勇気。100km以上の搬送でしたが、体調に問題はなさそうです。今日からここが、2頭のわが家。スタッフ全員でつくったル ゴロワ農場の印象を2頭はどう思っているのでしょうか。 順調にいけば、1、2ヵ月後には、3頭目ととなるあかりの子どもが生まれます。待ち遠しいわくわくする気持ちと、大丈夫かしらという心配の気持ちが混じり合った複雑な心境。案ずるよりも、産むことはあかりに任せて、私たちはどんと構えて産むための環境づくり、産まれた子馬が育っていける農場づくりをさらに一歩一歩進めなくっちゃ、と気持ちを引き締め直します。前途多難であることは間違いないけれど、不安より、心配より、前に向かう明るい気持ちが先立ちます。 ル ゴロワの農場づくりと共に牧羊犬に育ってくれればと、お祝いに授かった仔犬のコーギー「れい」も、きょうから農場の一員です。
vol.1 ル ゴロワ農場に、スタッフ全員集合! vol.2 仔馬誕生! 名前は「くるみ」です vol.3 新しい一歩 vol.4 ふゆだより